ひとごとではない
川での水難事故 
どうすれば防げるの?

ひとごとではない川での水難事故 どうすれば防げるの?

夏のレジャーやバーベキューなどで訪れる川は、こどもにとって身近に自然を感じられる場所です。その反面、流されたり溺れたりと、多くの危険も潜んでいます。「目を離さなければ大丈夫」と思っていても、事故に遭うのは一瞬です。誰にでも起こりうる川での水難事故は、どうすれば予防できるのでしょうか。

事故が起きるのはどんなとき?

よく晴れた空の下、水面がキラキラと輝く川は、こどもの目にはこのうえなく魅力的な遊び場に映るでしょう。
大人も「ひざ下くらいの浅瀬で水遊びくらいなら大丈夫」「自分がしっかり見ていれば少し遠くまで行っても大丈夫」と思うのではないでしょうか。

しかし、

○川は、一見浅くても急に深くなることがあります。浅瀬だと思って一歩踏み出した瞬間、深みにはまって溺れるケースは、実はとても多いです。

○また、川は岩が突き出ていたりうねうねと蛇行していたりします。深さや川幅が変わるので、場所によって流れの速さが違います。ゆるやかな流れが、ある場所で一気に速くなり、足をとられて流されることがあります。普段は流れのゆるやかな場所でも増水すると流れが速くなります。

○こどもは好奇心旺盛です。岩場の上に立ったり、川岸にあるコンクリートブロックの段差や傾斜で遊んだりしているうちに滑って転落することも。水際に落ちたボールを拾おうとして深みにはまったり流されたサンダルを追いかけて溺れたりもします。

「大人がいても事故は多い」というデータも

こうしたアクシデントの時、大人がそばでつきっきりでみていて、手の届く範囲でとっさに助ければ、事故を防げる場合もあるかもしれません。ですが、実際には「グループで来ていたため、誰かがみてくれていると思った」「バーベキューの準備に気を取られていた」などの理由で、注意が向けられていない場合もあります。

公益財団法人「河川財団」の調査(2003-2023年)によると、家族連れなど大人に引率されたグループであっても事故数は多く、大人がいるから安心とは言えないことがわかります。

*河川財団と警察庁の統計より

また、2023年夏に川の事故で死亡または行方不明になった中学生以下のこどもは10人で、これは過去5年間で最も多い数であることが、警察庁の統計でわかりました。

こどもの川での水難事故は、今でも深刻な状況であることがわかります。

川での水難は「防ぐことができる」事故 ライフジャケットは必ず着用

小さな川や河川敷にグラウンドがあるような大きな川など、川は日本全国どこにでもあり、ごく普通に生活圏に存在しています。川には絶対に行かない・行かせないと思っていても、こどもが川で事故に遭うことは、決して特別なことではありません。誰にでも起こりうることです。一方で、きちんと対策を取れば、防ぐことができます。

こどものライフジャケットの正しい着方

○川に行くとき、ライフジャケットは必ず着用しましょう。着用することで頭部が水面から浮かび、流れがあっても無理なく呼吸ができます。

○また、着用しても、ぶかぶかであったりフィットしていなかったりすると水の流れで頭側からジャケットが脱げてしまうことがあります。特にこどもは股下にベルトを通すタイプのジャケットを着用してください。成長を見越して大きめのサイズを選ぶ、といったことはせずに、体にフィットさせるための調節ベルトがあるものを選びましょう。

○川に行く前といる間は、活動場所とその上流の天気予報をチェックしましょう。数日前や前日、当日の朝に雨が降ると増水の可能性があります。また、いまいる場所が晴れて増水していなくても、上流で雨が降っていたり、ダムの放流があったりすると、水かさが急に増えることがあります。活動する場所の地形も、合わせて調べておきましょう。

○「誰か大人がみてくれている」と考えず、こどもが川にいるときは大人が手の届く範囲で一緒にいることを必ず確認しましょう。その際、大人もライフジャケットを着ることを忘れずに。こどもの下流側にいると、流されたときに備えられます。

○川に落ちた物は追いかけず、拾おうとしないことを徹底しましょう。脱げやすいビーチサンダルなどは避け、水中活動用の脱げにくくすべりにくいスポーツサンダルなどを履きましょう。

「装備」「準備」「知識」 川は正しく遊べば学びのある場所

私たちにとって、川は最も身近な自然のひとつです。きちんと準備し、正しい知識をもって遊べばこどもにも多くの学びが得られる場所です。

ライフジャケットなどの「装備」、気候や地形を確認する「準備」、流れや深みに対処する「知識」をもって、安心安全に川と向き合いましょう。

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