いつもと違う場所だから
こどもを守る
「ひと工夫」
家族そろっての帰省や旅行は、思い出の1ページです。こどもにとって、いつもの自宅や園とは違う帰省先や宿泊施設は、初めて見るもの、触るものがたくさん。好奇心いっぱいで手を伸ばします。ただ実は、こどもの事故は屋内で多く起きています。特に普段と違う慣れない場所では、保護者も危険を見落としがちです。いつ、どんなときに事故が起きるのか、知っておくことで対策できるようになりましょう。
こどもの事故の多くは住居内で起きている
こどもの事故は、保護者の思いもかけないシチュエーションで起こります。特に交通事故以外で起こるこどもの死亡事故の多くは、住居内で起きています。
住居でも、自宅の場合は保護者が普段から安全対策を取ることができます。
しかし帰省先などの慣れない場所では、対策が行き届かない場合があります。こどもは好奇心いっぱいです。自宅以外の場所ではなおさら、初めて見るものに興味を持ち、触ったり登ったりしがちです。慣れない住居内でこどもの事故が起きやすいのは、そのためです。
もちろん前提として、少しの時間でもこどもから目を離さないようにすることが大事です。ほんの少しの間、大人がこどもを放置したことで事故が起きてしまうケースは多いです。しかし、「目を離さないように心がける」だけでは、100%事故を防げるわけではありません。事故防止に有効な具体策を学んでいきましょう。
少しの注意と工夫で事故は防げる
○「転倒・転落」には家具の配置に気をつけて
いつもと違う間取りや家具の配置の部屋では、こどもが歩く場所に置いてある家具にぶつかったり、段差につまずいて転倒したりします。また窓際に置いてあるソファなどの家具にこどもが登り、窓から落ちる事故も起きています。
こどもの動線上に家具を置かない、窓際にソファなど登れるものがある場合は、足場にならないように移動させるなどの対策をしましょう。
○こどもが一人で危険な場所に行かないように
慣れない場所ではこどもは冒険をしたがります。一人でベランダに出て転落したり、水の入っている浴槽に落ちて溺れたり……。窓や浴室のドアは乳幼児でも開けることがあります。
そうした場所には、こどもが開けられないように補助錠をつけましょう。取り外し可能な柵のベビーゲートでこどもが近づけないようにすることも有効です。年齢・発達に応じた対策を取りましょう。
万一、こどもが一人で行ってしまったときに備え、ベランダには踏み台になるものを置かない、可能な限り浴槽の水を抜いて空にしておくなどの防止策も取ると安心です。
○電化製品や事故につながる道具は遠ざける
電気ケトルやストーブがこどものそばにあるとやけどの原因になります。調理台の上の包丁ラックやキッチンばさみも、けがのもとです。それらをこどもが直接触らなくても、コードにつまずいたり、こどもが転んでストーブに接触したりすれば、大きな事故につながります。こどもが暮らしていない場所では、こうしたこどもの事故につながる電化製品や道具が手近な場所に置いてあることがあります。
こどもの滞在中は電気ケトルや包丁ラックなどはこどもの手の届かない場所にしまいましょう。またストーブの周囲に柵を置くのも一つの手段ですが、可能ならこどものいる間だけでも室温調整はエアコンで行いましょう。
対策は大人がみんなで、
協力しあって
帰省で一緒に過ごすこどもの祖父母世代にとって、家具の移動や補助錠設置などは、もしかしたら「え、そこまでする?」と感じる場合もあるかもしれません。そういうときは頭ごなしに言わずに、こども家庭庁「予防のためのこどもの死亡検証」(CDR)の本サイトに掲載された動画を見せるなどして、これまで実際に事故が起きていることを伝え、「いまはこんな感じで対策することが勧められているよ」と伝えてみましょう。
こどもの安全を守ることは、保護者だけが行えばいいものではありません。大切なこどもを「みんなで守る」という気持ちを共有しあい、危険を取り除いていきましょう。
知っておきたい、
命の守り⽅の具体策
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一般のみなさまへこどもが安全・安心に暮らせる環境をつくるために、普段の生活の中で取り組める予防策を動画や記事でご紹介します。
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自治体の方へ各自治体で行われているCDRモデル事業の取り組みについてご紹介します。
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医療機関の方へCDRの実施にあたり、医療関係者のみなさまにお願いしたいことや対応方法についてご紹介します。
防ぐための予防策